『新宿野戦病院』ネタバレ最終回!亨の視点からあらすじ①
この街、新宿・歌舞伎町。夜の帳が下りると、ネオンの海に飲み込まれる街。そんな喧噪の中で、俺たち医療者は日々、命と向き合ってきた。でも、今までの経験なんて何の役にも立たない。そう思い知らされる日が、ついにやってきやがった。
ルミナ。歌舞伎町ウイルスって呼ばれてる、このクソったれな新種のウイルス。最初は「どこか遠い国の話」だと思ってた。けど、現実はそう甘くはなかった。ホストの凌介が日本人初の感染者として運び込まれてきた時、俺の中で何かが凍りついた。
ECMOを使わないと5日も持たない。そんな恐ろしいウイルスが、俺たちの目の前で猛威を振るい始めた。医者として、何とかしなきゃいけない。でも、どうすりゃいいんだ?答えが見つからない。そんな中、思わぬ援軍が現れた。
ヨウコだ。あいつが聖まごころ病院に戻ってきた時は、正直ホッとした。あいつなら何か打開策を見つけてくれるんじゃないかって。俺たちは必死になって、ルミナウイルス専用の病床を作ろうとした。でも、運命ってやつは本当に残酷だ。
父さんが感染した。高峰啓三、俺の父が、あのクソウイルスに冒されちまった。なんでだよ。なんで父さんなんだよ。そう叫びたくなる気持ちを必死に押し殺して、医者としての冷静さを保とうとした。でも、無理だった。
頭の中で、あの時の光景がぐるぐると回る。父さんと一緒に過ごした時間、話した言葉、交わした視線。全てが、俺を責め立てる。俺が感染源だったんじゃないのか?俺が父さんを殺しちまうんじゃないのか?そんな思いが、心の中で暴れまわる。
でも、立ち止まっちゃいけない。父さんのためにも、他の患者さんたちのためにも、俺は前に進まなきゃいけない。ヨウコや他のスタッフと力を合わせて、何としてもこのウイルスを倒す。そう、誓ったんだ。
医者としての使命と、息子としての気持ち。相反する感情に引き裂かれそうになりながら、それでも俺は戦い続ける。この街で、この病院で、大切な人たちを守るために。
ルミナとの戦いは、まだ始まったばかりだ。でも、俺は絶対に諦めない。父さんを、そしてこの街を救うために、俺は全力で走り続ける。たとえ、どんなに苦しくても、どんなに辛くても。
これが俺たちの、聖まごころ病院の戦いだ。そして、俺、高峰享の覚悟だ。
『新宿野戦病院』ネタバレ最終回!亨の視点からあらすじ②
俺、高峰享の人生は、あの日を境に大きく変わった。
新宿・歌舞伎町の片隅にある「聖まごころ病院」。俺にとっては、叔父の啓介が院長を務める、ただの腰掛けの職場でしかなかった。美容皮膚科医として、やる気なく日々をこなしていた。
そんな俺たちの前に、突然現れたのが彼女だった。ヨウコ・ニシ・フリーマン。アメリカ国籍の元軍医で、その姿は最初から異彩を放っていた。
正直、最初は戸惑った。彼女の情熱的な態度や、患者への献身的な姿勢は、俺には眩しすぎるものだった。でも、彼女と共に働くうちに、少しずつだが、俺の中で何かが変わり始めていた。
コンカフェでの爆破事件。あの日、俺たちは大量の負傷者を前に、医療者としての覚悟を問われた。トリアージという、人の命の優先順位を決める残酷な選択を迫られ、俺は初めて医師としての重責を痛感した。
そして、新種のウイルス・ルミナの感染拡大。次々と押し寄せる患者たち。俺たちは、限られた資源と人員で必死に闘った。ヨウコさえもが感染し、命の危機に瀕した時、俺は彼女を、そして「聖まごころ病院」を守らなければならないと強く感じた。
しかし、ヨウコの逮捕。日本の医師免許を持っていなかった彼女が、医師法違反の容疑で連れていかれる姿を見て、俺の中で何かが決定的に変わった。
そして2年後。俺は「聖まごころ病院」の5代目院長となっていた。まだ頼りないところもあるが、ヨウコから学んだことを胸に、必死で病院を守っている。
壁に掛けられた歴代院長の写真。そこには4代目院長としてヨウコの姿があった。俺には分からない、彼女が院長を務めていた時期のことは。でも、確かに彼女はこの病院の歴史に刻まれ、そして俺の心にも深く刻まれている。
今、ヨウコは海外の野戦病院で奮闘しているという。俺たちの道は別れたが、彼女から学んだ情熱と献身は、今も俺の中で生き続けている。
「聖まごころ病院」は、俺にとってもはや単なる腰掛けの職場ではない。この街の、そしてここに生きる人々の希望の灯火なんだ。
ヨウコ、いつかまた会えるその日まで、俺はここで闘い続ける。あの日、新宿の野戦病院で始まった俺たちの物語を、これからも紡いでいくために。
コメント