光る君へネタバレ46話!まひろの語りであらすじを簡単に
春風に誘われるように、私は大宰府へと辿り着いた。この地には宋からの商人たちが行き交い、都とは違う活気に満ちている。そんな人々の中に、まさか、あの人の姿を見つけるとは…。
周明…。22年の時を超えて、再び出会った彼の目には、かつての若き日の輝きとは違う、人生の重みが宿っていた。失踪の真実を語る彼の言葉に、私は時の流れを痛感せずにはいられない。
思いがけず、ここで双寿丸とも再会した。賢子の話をすると「大人になったのだな」と呟いた彼の背中に、何か切なさを感じる。この土地で若武者として生きる彼の人生も、また一つの物語なのだろう。
大宰権帥・藤原隆家との出会いも印象的だった。都で知っていた彼とは別人のように、心の垣根を取り払い、武者たちと酒を酌み交わす姿に、私は目を見張った。「富などいらぬ。仲間がおれば」という言葉に、都の権力争いとは違う生き方があることを教えられた気がする。
そして道長の出家の知らせ…。権力の頂点に立った人でさえ、病には勝てない。隆家の言葉が胸に染みる。私もまた、人の世の無常を痛感せずにはいられない。
松浦を目指して船越の津へ向かう途中、突然の異変に遭遇した。逃げ惑う村人たち、追う異国の賊たち。乱れる呼吸の中、双寿丸の「逃げろ!」という声が響く。彼らの剣と剣がぶつかる音を背に、私は走った。
まるで源氏物語の一場面のように、この九州の地でも、人々の命運が交錯している。歴史は、こうして新たな物語を紡いでいくのだろう。源氏物語を書き終えた今、私の目の前で展開される現実の物語に、筆を執らずにはいられない思いがこみ上げてくる…。
光る君へネタバレ46話!まひろの語りであらすじを詳しく
その日、大宰府に足を踏み入れた時、私の心は不思議な高揚に満ちていた。源氏物語を書き終え、長年の夢であった旅に出られる喜びと解放感。そして、亡き夫・宣孝が赴任していたこの地への密やかな思いが胸の中で交錯していた。
市中には宋からの商人たちが行き交い、都では決して見られない異国情緒が漂う。その雑踏の中で、ふと目が合った。周明…。22年の時を隔てて再会した彼の瞳に、私は言いようのない感情の渦に飲み込まれそうになった。
「まひろ殿…」
彼の声には、かつての若々しい響きはない。その代わりに、歳月が刻んだ深い味わいがあった。失踪の真相を語る彼の言葉一つ一つが、この22年という時の重さを私に突きつける。変わってしまったもの、変わらないもの、そのすべてが胸を締め付けた。
政庁で出会った双寿丸は、相変わらず率直な若者だった。だが「ただの女じゃないと思っていた」という言葉に、私は苦笑いを禁じえない。都で積み重ねてきた日々が、この地では遠い世界の話のように思える。賢子の話をすると、「大人になったのだな」と呟いた彼の声には、どこか寂しげな響きがあった。
そんな中、思いがけない歓待を受けることになった。大宰権帥・藤原隆家は、都での権力闘争から距離を置き、この地で新たな生き方を見出していた。視力を取り戻した彼は、文字通り世界を新しい目で見ているのだ。宴席で武者たちと酒を交わす姿は、都では想像もできなかった光景。
「富などいらぬ。仲間がおれば」
その言葉に、私は深い感銘を覚えた。それは同時に、道長の出家の知らせと重なって、人の世の無常を強く感じさせた。権力も栄華も、最後には病の前では無力なのだ。
船越の津を目指す途中、突如として事態は急転する。異国の賊に追われる村人たち。混乱の中、双寿丸たちが颯爽と現れ、私を守ってくれた。「逃げろ!」という彼の叫び声を背に走りながら、私は思った。これもまた物語なのだと。
源氏物語では描ききれなかった、生々しい現実の断面がここにある。都から遠く離れた場所で、人々は命を懸けて生きている。刀伊の賊の襲来という歴史の瞬間に、偶然立ち会うことになった私は、この出来事を記さずにはいられない。都の栄華とは違う、もう一つの歴史の物語として…。
まるで神々の配剤であるかのように、私の旅は思いがけない展開を見せ始めていた。再会と別れ、平穏と動乱、そのすべてが新たな物語の糸となって、私の心の中で紡がれていく。この九州の地で見聞きするものすべてが、都では決して知ることのできなかった新鮮な衝撃として、私の魂を揺さぶっていた。
そう、これこそが私の求めていた旅なのかもしれない。源氏物語を書き終えた後に、現実の歴史の証人となる運命が、この大宰府で私を待っていたのだ…。